こだま通信 Vol.48 2005年3月号 2P(障子は世界に誇るインテリア)

障子は世界に誇るインテリア

障子の由来

障子の「障」には「遮る・隔てる」という意味があり、「子」は「物」を意味する言葉です。つまり「遮るもの・隔てるもの」というのが障子本来の意味なのです。 寝殿造りと呼ばれている平安時代の貴族の住宅では、広い空間の板の間を仕切るために柱間に嵌め込んだものは 「襖障子」、視線を遮るために床に置いたものは「衝立障子」と呼ばれ、かつての障子という言葉は広義に使われていました。平安時代後期に登場してきた、絹や和紙を貼った採光用の「明かり障子」が現在の障子の原形と言われています。


障子の種類

形状による障子の種類

1

水腰障子

腰板のない全面紙貼りとした障子。現在では最も一般的なデザインとして好まれている。

2

腰付障子

障子下部に板張りや襖紙を貼る等して腰が付いた障子。板張りを木地腰といい、36cmの尺二腰を標準とする。

3

腰高障子

腰板の高さ60〜60cmの腰付障子。腰高障子の場合、組子を立茂に組むのが一般的とされている。

4

猫間障子

摺上げ障子とも呼ばれ、障子の下半分にガラスを嵌め、上下に移動可能な小障子を組入れた障子。大阪猫間障子ともいい、小障子が左右に引き分けるものを東京猫間という。

5

雪見障子

障子の一部に透明ガラスを入れ、雪景色を始め外部の様子がうかがえるようにしたものの総称。

6

太鼓貼障子

両面組子障子とは逆の発想で、組子の両面に障子紙を貼った障子。一枚貼り障子より断熱効果も1.5倍になる。

7

掛け障子

別名角柄障子ともいい、折れ釘等に引っ掛けて用いる。数奇屋造りの窓や開閉する必要のない部屋側に、ガラス隠しとして用いる装飾用障子。


組子による種類

1

荒間障子

大荒間障子等とも呼ばれる。竪横の組子の間隔を大きく、荒く入れたもの。くせのない形状で和洋を問わず採用されている。

2

吹寄障子

竪横数本の組子の間隔を片寄せしたもの。単調な意匠としないためにあえて規則的なリズムを崩し、微妙なバランスを楽しむ。主に数奇屋での採用が多い。

3

横茂障子

横組子を多く入れた障子。落ち着いた厳格な印象があり、格式の高い座敷等にも採用される場合も多い。

4

立茂障子

逆に竪組子を多く入れた障子。厳格な印象を与えながらも、少し洒落た意匠にしたい場合に多く用いられる。

5

変わり障子

組子障子ともいい、菱形等の模様をあしらったりして独特の意匠をねらうためにそのバリエーションは豊富である。

6

両面組子
障子

通常は片面に紙を貼るが、この場合は組子が二重になっていて、片方の取外しができる組子に紙を貼って、嵌め込んである。


健康と環境に配慮された障子の特性

1.陽光を和らげる透過率
障子は光の透過率が40〜50%といわれ、直射日光を半分くらいに軽減することが出来ます。視覚的には日当たりの暖かい感じを残しつつ、直射日光は適度に遮ることが出来ます。また射し込んだ光は、昼間の陽光を和らげ各方向に拡散するので、カーテンやブラインドでは得られない 均一な柔らかい光が部屋全体にまわります。
2.自然換気と吸湿作用
熱損失のため気密性も必要ですが、空気の換気も大切なことです。大きな換気は窓等の開放で出来ますが、障子紙の多孔性という特質によって、自然な形での換気と清浄化を行っています。さらに吸湿性もあるため、室内に湿気がこもるのを防ぎ、湿度変化を抑えています。湿度の高い日本の住宅に適した建具といえます。
3.光の反射による照明効果
障子紙の反射率は35〜40%です。透明硝子の10%比較してもかなり光を反射する素材といえます。白い壁と共に障子を採用することにより、照明光を反射しあって、照明効果を一層高める効果があります。
4.人にやさしい断熱効果
壁面や床面等との面積率にもよりますが、断熱性の良い住宅で一重硝子窓から約40%の貴重な熱が失われてしまいます。硝子窓と障子の二重建具にすることによって熱損失率は1/2に減少します。また両面紙貼障子にすることによって断熱効果は1.5倍に増えます。障子紙の透過率によって、日射熱を1/2に減少させ、夏季の冷房効果を高める利点もあります。

人を健康に導く障子紙の効用

障子紙は空気を濾過する機能があります。外気が障子紙を通って屋内に入るとき、タール色素や排気ガスの微粒子であるニトロン化合物等の発ガン性物質を吸着します。熱の調節、湿度の調節、明るさの調節等、障子紙は健康にとても良い影響を及ぼしています。

〜日ごろのお手入れ術〜

●週に一度は埃を払いましょう
障子の埃はそのままにしておくと湿気を吸い、シミの原因になります。週に1度、ハタキ で障子のホコリを払い落としましょう。ポリバタキをくるくるっと降って静電気を起こして使うと、なでるだけでホコリが吸着できて効果的です。棧にたまったホコリが取りきれないときは、やわらかいブラシで払うか、乾いたやわらかい布でからぶきしましょう。

●引き手まわりは・・・
引き手のまわりは手アカなどで汚れやすいところです。 黒ずんできたら、住まいの洗剤を水で薄めたものを 雑巾につけて汚れをふき取り、その後に固く絞った 雑巾でふいておきましょう。

●障子の滑りが悪いときは?
障子の滑りが悪いときは、市販の
戸滑りシールが便利です。
1.障子をはずして下側のゴミや汚れを
ふきとります。
2.下側の両端に戸滑りシールを貼ります。

戸滑りシール
シールは最低両端2ヵ所、大きい障子の場合は3ヵ所貼る

※右写真はVOL.48の2pの本刷りの
ものを写真化したものです。→

ko-48-2p-01.html