新・建築基準法
解説講座
1.シックハウス対策の改正に至るまで
2.新・基準法の中身とは?
3.これからの健康住宅どう見分ける?

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シックハウス対策の改正に至るまで
シックハウス症候群とは、新築の家・学校・会社に居る人が、目がチカチカする・のどが痛い・吐き気がする・頭が痛いなどの症状をうったえる現象です。その原因と言われるのが、建物に使用する建築材料から発散された、有害化学物質(VOC)。 
 国では、健康を害する恐れのある有害化学物質(VOC)に対して、6年前から次のような、取り組みを行なって来ました。

1997年
厚生省
シックハウス症候群の原因となるVOCのうち、もっとも有害とする、ホルムアルデヒドの室内濃度指針値を0.08ppmとし、健康に問題ないとする基準を発表。これを受けて、建材メーカーなどによる自主的な改良努力が始まったのです。

1997年〜2002年
厚生労働省
その他の13種類のVOCに対する室内濃度指針値も定めてきました。しかし、法的な規制はありません。

有害化学物質の
名称

室内濃度
指針値
ホルムアルデヒド 0.08ppm
トルエン 0.07ppm
キシレン 0.2ppm
P-ジクロロ
ベンゼン
0.04ppm
エチルベンゼン 0.88ppm
スチレン 0.05ppm
クロルピリホス 0.07ppm
フタル酸ジ-n-
ブチル
0.02ppm
テトラデカン 0.041ppm
フタル酸ジ-2-
エチルヘキシル
0.0076ppm
ダイアジノン 0.023ppb
アセトアルデヒド 0.03ppm
フェノブカルブ 3.8ppb

2002年文部科学省
子供たちが通う教育現場でも、児童が化学物質過敏症を発症した問題事例が報告されるようになりました。その為、シックスクール対策で、学校建築のホルムアルデヒド・トルエン・キシレン・P-ジクロロベンゼンの4物質を含む建材に対する規制が設けられました。

2003年国土交通省
これまでのシックハウスに関する流れは、有害VOCの対策は、いわばメーカーの自主規制や、ユーザーの判断に委ねるところが大きかったと言えます。そこで、一歩前進したのが今回の改正。法律の上に、シックハウス対策の規制が設けられたのです。(罰則もあり)
しかし、これで安心と言いきれないのが現実。厚生労働省で、健康被害を招く恐れがある13種類のVOC室内濃度指針値を定めていますが、今回の改正で対象となるVOCは、以下の2物質だけとなっています。
1.[クロルピリホス]の全面使用禁止(主に、シロアリ予防に使われてきた有機リン系のVOCです。)
2.[ホルムアルデヒド]対策の三大規制

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